「派遣社長」

「インディペンデント・コントラクター」について書いたが、
さらに進むと、ありうると一見思えるのが「派遣社長」である。
祥伝社文庫に、原宏一「床下仙人」というのがあり、
短編5作品が収められているが、
その中に、そのまま「派遣社長」という作品がある。
派遣社員」があるのだから「派遣社長」があってもいいだろう、
というのは当然の発想である。
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表題の作品も含めて、原宏一の作品は、
現実にありうるように思ってしまうこわさがある。
経営を資本から切り離し、プロにまかせようというのは、
営利を追求する会社組織では、当然の趨勢である。
ならば、社長もプロを派遣するというのも、ありだと思える。
(実際は株主総会のチェックがあるので、すんなりとはいかないだろうが、
 アメリカなどでは、CEOは、経営のプロが会社を渡り歩く)
収められている作品はどれも面白いので、
是非、読んで頂きたい。
個人的には「シューシャイン・ギャング」をお勧めする。
ビジネス社会では、一人が成功すると、必ずマネするヤツが出てくる。
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この「床下仙人」は、現在、志夢ネット・チェーンで、
重点販売商品として、常時大量に陳列販売している。
以下の書店を覗いて欲しい。
 (宮城)ブックスなにわ塩釜店・古川店・多賀城
 (福島)ブックスなにわ会津若松
 (埼玉)一清堂浦和店・加須店
 (千葉)鴨川書店
 (山梨)天真堂本店・塩山店・加納岩店・甲府国母店
 (奈良)ラックス大和高田店・橿原店・奈良柏木店
 (京都)まるぜん書店網野店・野田川店・マイン店
 (兵庫)オクショウBOOKSアコードフローラ店
近くに志夢ネット・チェーンの店舗のない方は、
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床下仙人 (祥伝社文庫)

床下仙人 (祥伝社文庫)

「インディペンデント・コントラクター」

19日(月)、お手伝いをしている書店のボランタリー・チェーン:
「志夢ネット」のオーナー会があり、
7名のオーナー全員が集まった。(7社18店舗のチェーン)
「本部からみんなに伝えたいことがありますか?」とのことだったので、
「私の契約形態は雇用契約ではなく、業務委託契約ですから・・・」
と、言わせてもらった。
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通常の「雇用契約」では、会社側に社会保険の加入義務が発生し、
粗利の少ない書店では、法定福利費の負担が重くのしかかる。
一方、私の方も、生活のための収入は必要だが、
次のステップのためにも、勉強する時間が欲しい。
そこで、お互いの利益から、
今回、「業務委託契約」の形態をとることに合意した。
業務委託契約は請負契約に似た契約なので、
合意があれば、それで契約は成立する(「諾成契約」と言います)。
しかし、やはり書面にしておかないと、問題は多い。
お互い慣れないので、雇用契約と同じような対応になりがちである。
雇用契約と同じでは、脱法行為とみなされてしまう)
業務を委託する方は、あれもこれもと、
あたかも自社の社員のように、仕事をいいつけてくることが多い。
「それは請け負った業務の範囲を超えている」と言わなければならないことが、
結構ひんぱんに発生する。
また逆に、ここ(本部)には社員が一人もいないため、
範囲外だとわかっていても、受けないと先にすすめないため、
ついつい自分でやってしまうことも多い。
どこまでが請け負った業務なのか、かなり明確にする必要がある。
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このように、一人で業務を請け負って仕事をする人を、
「インディペンデント・コントラクター(独立した契約当事者)」という。
日本語では、「個人事業者」と言った方が、分かり易いと思う。
社会保険料については、会社側の負担の重さとともに、
個人の側でも、その将来性について不安を持っている時世なので、
今後ますますこうした契約形態は増えていくと思われる。
ただ、一般に浸透するまでには、
まだまだきちんとしなければならないことも多そうだ。
業務委託契約」については、以下の本が詳しい。

儲かる会社は業務委託契約でリスクなく人材を活用する (アスカビジネス)

儲かる会社は業務委託契約でリスクなく人材を活用する (アスカビジネス)

書店は生き残れるのか?

この3日間、久し振りに多くの人と会うことになり、
身体的にはかなりの疲れを感じたが、
逆に精神的には不思議な高揚感があった。
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19日(月)は、今、仕事をお手伝いしている、
書店のボランタリー・チェーンである「志夢ネット」のオーナー会があり、
7社の社長さん達が一堂に会した。
20日(火)は、その母体である全国の書店の勉強会組織:
「日本書店大学」の5月例会があり、
上記の7人を含め、久し振りに昔からの学友に再開した。
ここで文春の名女川役員に、第1講(「これで雑誌が売れる」)をお願いし、
第2講は明日香出版の石野相談役のご紹介で、
北海道から不破俊輔さんをお迎えし、講演をして頂いた。
不破さんは、今月、明日香から出版された、
「なぜ会社は大きくすると潰れるのか」の著者である。
この本と不破さんについては、別途書きたいと思っている。

なぜ会社は大きくすると潰れるのか (アスカビジネス)

なぜ会社は大きくすると潰れるのか (アスカビジネス)

最終の第3講は、いつものように田辺聰(あきら)学長にお願いした。
田辺学長は、作家:田辺聖子氏の実弟である。
21日(水)は日本書店大学の出版社訪問で、「文芸社」をお訪ねし、
その帰り、お世話になっている「ポプラ社」に立ち寄った。
文芸社」では、草思社の渡辺役員にもお会いできたし、
ポプラ社」では、久しぶりに坂井社長とお話することもできた。
3日間で合計:30人位だとは思うが、
これだけの人と会うのは、実に久し振りのことである。
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いろいろな人と話した中で、3日間を通じて感じたことは、
「書店経営がますます疲弊してきている」ということである。
学友店の数も目に見えて減ってきているし、
話の内容も、暗いものが多かった。
先日、学長のお宅に伺った際に、学長から、
「あんたは書店については勿論だが、
コンピューターについてもよくわかっているんだから、
これから生き残っていける書店のビジネスモデルを作れ!」
と、言われたが、
時間はあまり残されていないのかも知れない。
一度は降りてしまった舞台だが、
これが天命なのかも知れない。

「消費税」の督促状

 先日、「所得税」について書いたが、
実はゴールデン・ウィークの直前に、
「消費税」の督促状が税務署から届いた。
「消費税」は「所得税」と違って、
破産者の自由財産に課税されるイワレはないと思い、
以下の手紙を付けて、配達証明付きで、税務署長に突っ返した。
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XX税務署長 殿

  「督促状」回送の件

前略
 同封の「督促状」が私宛に送達されて参りましたが、
明らかな手違いと思われますので、ひとまず返送させて頂きます。
後述します適切な送達先(破産管財人)宛に回送して下さいますよう、
ご依頼申し上げます。
 昨年9月25日、所得税の予定納税の申告書の提出に
貴税務署にお伺いした際にも、書面にて申し上げた通り、
私は現在破産手続中であり、書類の送達先は、
国税通則法基本通達(徴収部関係)第12条関係の「書類の送達」にある、
「送達を受けるべき者が破産の宣告を受けていることが明らかな場合には、
破産管財人の住所等に書類を送達するものとする」との通達が
該当するものと思われます。
 また、当該「督促状」の内容である
「平成19年1月1日から同年3月31日までの消費税及び地方消費税」は、
争いの余地なく「財団債権」ですので、
交付要求はお済ませのこととは存じますが、
もし万一まだでしたら、早急に交付要求されることをお勧め致します。
 先日、破産管財人より、「譲渡所得税の交付要求を早急に出すよう
XX税務署に催促したら、『理由がないから』とのことで拒絶された」
とのお話は伺っておりましたが、
消費税は,所得税のような破産手続開始の前後を通じて考慮しなければならない
要因のない物的税であり、4月19日の破産手続開始時点では
すでに発生が確定している租税等の請求権でありますので、
破産法第148条1項3号の「財団債権」であることには
議論の余地がないものと思われます。
ましてや消費税は一種の「預かり金」であり、
それが破産手続開始時点で破産財団の一部を構成していたものですから、
財団から徴収する以外にはないものと思います。
お客様からお預かりした「消費税」は、
破産債権者らがいわゆる「ヤマワケ」することを認めながら、
実行効果のほとんどない破産者の自由財産に課税するといった不合理は、
許されないものと思われます。
税務当局におかれましても、今までもそのような解釈のもとに、
実務を行なってきたと聞き及んでおります。
 いずれにしましても当該「督促状」は、末尾記載の破産管財人宛、
回送して下さいますよう、ご依頼申し上げます。
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 結果、税務署はすぐに破産管財人宛に交付要求を提出し、
破産管財人は即座に支払をし、
その充当明細書が、昨日、管財人から回送されて来た。
ついでにおまけの「所得税の督促状」も回送されて来たが・・・。
いずれこの分に関しては、
「租税債務不存在の確認訴訟」を起こさなければならないと思うが、
お金のない破産者の代理人を引き受けてくれる、
弁護士がこの世にいるのだろうか?

「文芸社」と「草思社」

今日は「文芸社」に用事があり、古内(ふるうち)役員をお訪ねした。
来週、地方の書店を何社か引き連れて、
出版社を訪問することになっているのだが、
どこに行くか、まだ決まっていなかった。
書店の希望は「メディア・ファクトリー」か「文芸社」だったが、
「メディア・ファクトリー」には、断わられてしまった。
文芸社」にも断わられたらどうしよう・・・と思っていたが、
古内役員は、快く引き受けてくださった。
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今、「草思社」が民事再生を申請しており、
文芸社」が手をあげ、ほぼ決まりそうな状況にある。
草思社」は、その出版物のクォーリティに定評があり、
特にタイトルのネーミングは秀逸である。
ただ、上質を追及してきただけに、経営はきつかったようだ。
一方「文芸社」は、時代のニーズに合わせて、
自費出版などにも力を入れてきたことにより、
体力があるように見受けられる。
もちろん、山田悠介神永学(最近ではJamais Jamaisも)を抱えており、
通常の出版流通のノウハウも十分持っている。
ただ、出版流通の世界でも、他の業界同様、
情報の生産者(プロデューサー:作家)と消費者(コンシューマー:読者)が、
同一人に帰する「プロシューマーの時代」にあって、
スターツ出版等が力を入れている「携帯小説」とは違った切り口で、
自費出版は、新しい市場の拡大に貢献していると評価できる。
この2社のマッチメイクは、理想的かも知れない。
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民事再生という法的手段を取っても、
市場再編のM&Aであることには変わりはない。
草思社」の資源を一番有効に生かして、出版界を活性化できるのは、
文芸社」は最適であると思われる。
音羽講談社)や一ツ橋(小学館集英社)では、やや無理があると思う。
われわれの書店チェーンは、今までも「草思社」支援をうたってきたが、
これからも良質な出版物を出し続けて頂きたいとの願いから、
川下からの支援を続けていきたいと思っている。

「文春」と「新潮」

昨日はたまたま、「文春」と「新潮」に行くことになった。
文藝春秋は、名女川(なめかわ)役員に、
来週、講演をお願いしているので、
その打ち合わせに伺った。
新潮社は毎月定例の、新刊の補充発注で、
営業の本間次長を訪ねた。
紀尾井町(文春)から矢来町(新潮)は、
結構近いようで離れている。
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「文春」と「新潮」はともに、
文芸作品を中心に出版しているが、
社内の人事に関する社風には、
際立った違いがあると、名女川役員から伺った。
新潮社は、一度雑誌編集なら雑誌編集に配属されると、
プロになるまで何十年でも、同じところにいる、
反して、文芸春秋は3年位で全く違うセクションに転属となり、
いつまでたっても、そこでは新人ということになる(らしい)。
どちらがいいというものでもないが、
同じように見える会社でも、
それぞれに特徴があるようだ。
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やはり出版流通に携わる仕事が、
私の天職なのかも知れない。
収入は前年の25分の1(4%)になっても・・・。

「択一」終了

昨日は、旧司法試験「択一」の本番だった。
実は、金曜日にカミさんのおふくろさんが入院し、
土曜日は息子の結婚披露宴、
いい加減疲れていた(ようだ)。
「択一」は3時間半で60問を解くのだが、
33問あたりで眠気が襲ってきた・・・。
「併存的債務引受」???
頭に入らず、問題を何度も読んでいた。
何分ぐらいロスしたかも分からない。
(緊張感に欠けていた?)
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まだ答え合わせもしていないが、
「答練」が軒並み悪かったのに、
「本番」で急に合格圏内に入る訳もない・・・
当初の予定通り、来年を目指せば・・・
と、言っては居られない事情が出てきた。
「免責」がおりないかも知れない・・・
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別に免責がおりなくとも、
破産しているのだから、
債権者が真剣に追いかけて来るとも思わないが、
免責がおりないことには、「復権」できない。
復権」できないと、弁護士にはなれない。
たとえ司法試験に合格しても・・・
このあと、どうしよう。
6月末までは、とりあえずは「商訴」だと思うが・・・