譲渡所得税は分離課税では?

昨日述べた「所得税」については、
実は破産手続開始早々に、破産管財人から、
所得税は破産後の破産者の自由財産にかからざるを得ないから」
と言われていたものではあった。
「でも支払できる訳がないのはみんな分かっている。
 お金がないというのは一番強いのだから・・・」
と、変な励ましを受けた覚えがある。
「でも、譲渡所得税は別で、これは不動産を売った時点で確定しているのだから・・・」
ともその時、言っていた。
それが最後にひっくり返ってしまった。
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経営者としては当然のことであるが、
なんとか会社を正常な資金繰りができるようにしようと、最後まで努力した。
先祖伝来の土地を売って、その売却代金を会社につぎ込んだ。
3月30日に売却が行われ、理論的にはこの時点で譲渡所得税が発生している。
破産手続開始は4月19日であるから、破産手続開始前の原因による租税である。
破産管財人もこれは払わなければならないと思い、
この春の確定申告の時期まで、清算を待っていた。
11月の第2回債権者会議でも、3月の第3回債権者会議でも、
債権者に対して、管財人は、
「譲渡所得税を払わなければならず、それによって配当はほとんどなくなると思う」
と言っていた。
ところが、いざ確定申告書を提出してみると、
税務署は、自ら降りてしまった。
「譲渡所得税所得税なので、同様に破産財団には請求できない」と。
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確かに、譲渡所得税所得税だが、分離課税でしょう。
通常の所得とは別に、譲渡行為があった時点で課税が発生するので、
人的要素を排除して課税できるように、分離課税としているのでは?
財団から取れないというのは、その分を債権者に回せるので結構だが、
破産者に請求するべきものではないでしょう。
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というわけで、合計1億6000万円を超える所得税・譲渡所得税が、
破産者の破産後の自由財産にかかってくるのだそうです。
ちょうど破産管財人の管理になった金額とほぼ同じで、
もしこれが税金に持っていかれると、債権者への配当がなくなる訳です。
債権者からクレームが出るのを避けた判断のような気がするのですが・・・
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税務署(行政)は先例を重視し、問題が起こらないようにするものらしいです。
立法府は、声を出すこともできない最弱者である破産者の、
「せっかくやり直そうとすべて捨てたのに、まだこんなに税金が追っかけてくるのか」
という、絶望の声は聞こえないようです(立法不作為)。
司法は法の枠内で処理せざるを得ないと言って、実態を見ずに適用している気がします。
そんな中で、国税局には40年前の亡霊が、まだ生き続けているようです。