「文芸社」と「草思社」

今日は「文芸社」に用事があり、古内(ふるうち)役員をお訪ねした。
来週、地方の書店を何社か引き連れて、
出版社を訪問することになっているのだが、
どこに行くか、まだ決まっていなかった。
書店の希望は「メディア・ファクトリー」か「文芸社」だったが、
「メディア・ファクトリー」には、断わられてしまった。
文芸社」にも断わられたらどうしよう・・・と思っていたが、
古内役員は、快く引き受けてくださった。
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今、「草思社」が民事再生を申請しており、
文芸社」が手をあげ、ほぼ決まりそうな状況にある。
草思社」は、その出版物のクォーリティに定評があり、
特にタイトルのネーミングは秀逸である。
ただ、上質を追及してきただけに、経営はきつかったようだ。
一方「文芸社」は、時代のニーズに合わせて、
自費出版などにも力を入れてきたことにより、
体力があるように見受けられる。
もちろん、山田悠介神永学(最近ではJamais Jamaisも)を抱えており、
通常の出版流通のノウハウも十分持っている。
ただ、出版流通の世界でも、他の業界同様、
情報の生産者(プロデューサー:作家)と消費者(コンシューマー:読者)が、
同一人に帰する「プロシューマーの時代」にあって、
スターツ出版等が力を入れている「携帯小説」とは違った切り口で、
自費出版は、新しい市場の拡大に貢献していると評価できる。
この2社のマッチメイクは、理想的かも知れない。
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民事再生という法的手段を取っても、
市場再編のM&Aであることには変わりはない。
草思社」の資源を一番有効に生かして、出版界を活性化できるのは、
文芸社」は最適であると思われる。
音羽講談社)や一ツ橋(小学館集英社)では、やや無理があると思う。
われわれの書店チェーンは、今までも「草思社」支援をうたってきたが、
これからも良質な出版物を出し続けて頂きたいとの願いから、
川下からの支援を続けていきたいと思っている。