破産管財人の裁量余地

 破産管財人からの依頼で会社の破産処理を手伝っていた
元の社員から昨夜連絡があり、
「会社の後処理もほぼ終わり、
退職金も3ヶ月分は頂き、残りは秋になるそうです。
ありがとうございました。」
と、退職金のお礼を言われた。
 従業員の退職金は全額支給できるという計算で、
タイミングを見て破産手続開始を申立てたつもりなので、
少なくとも財団債権となる退職金のうちの3ヶ月分は、
社員全員に出るはずである。
 また、パート・アルバイトの解雇予告手当
全員に出せる計算をしていたが、
この分は財団債権ではなく、優先的破産債権にとどまり、
支給は秋の配当時になってしまうようだ。
ただ、本人たちは知らずにやめていってるフシがある。
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 破産宣告前までは経営者という立場で意思表示できたが、
宣告後は破産者という立場になって、
まったく意思表示の機会がなくなってしまった。
 管財人を通して伝えることもできるはずだが、
破産者と管財人の力関係を考えると、
平等にものをいうことはなかなか難しい。
「協力的でないと免責してもらえないのではないか」
という不安が必ず生じる。
 申立代理人弁護士をはじめ、
ターン・アラウンドに協力してくれた人たちは、
「管財人の心証を悪くしないように・・・」
といった漠然としたアドバイスを以前してくれた。
 現行法のもとでは、破産管財人の裁量の幅が、
あまりにもありすぎるのではないか?
誰が管財人になるかによって違いがでるならば、
それは大きな問題であると思う。